2012年8月6日月曜日

浪漫飛行 後編

お元気ですか?ヤンチェン放送局START!!
前回までのあらすじ。
太郎は報われぬ恋と知りながら、和子と共に湯布院行きの片道切符を握りしめていた・・・・
台湾に降り立つと、GATEでは熱烈的歓迎!!と達筆で書かれた旗を持った台湾の先生や台湾の高校生の集団が迎えてくれた。
その中には、当然男女の同級生がいるワケで。あったりまえのコトだが女の子しか目がいかないんだな。それは、あらかじめ出発前に日本で、ホームステイ先は、男か女どちらを希望しますか?といういやらしい選択ができたので、迷わず女に二重丸をつけておいたのだ。女の子をよく見ると、カワイイ子、普通の子、カワイイ子、ゴリラみたいな子、普通の子、捕獲されたばかりのサルみたいな子と 様々な女の子がならんでいた。俺は出来ればかわいい子がよかったのだが、俺がホームステイするオンナの子はというと、うん、まぁ・・何というか・・その、ホントに普通の子なんだな。そして「カワイイ子がいいなぁ!」と仕切りに飛行機ではしゃいでいたヤツは、残念ながら捕獲されたサルと一緒に檻に収監されてしまった。
最初の日は、とりあえず全員で故宮博物院にいって翡翠でできた白菜やらを見たり(見たような気がする)観光地巡りを終えてホテル泊、そしていよいよ2日目からは、各ホームステイ先に別れていったのだった。
俺のホームステイ先の女の子の名前は、リンちゃんという名前なのだが、いきなり英語で話しかけてきた。彼女はバイリンガルで当然台湾にホームステイしてきた俺たちもバイリンガルだと思っていたんだな。
「リンちゃんごめんよ。俺は留年を免れる為にここにいるワケで。」と日本語でアンサーしたら、数秒間時が止まって、何事もなかったように時間は進みだした。こりゃとんでもないホームステイになると、2人が同時に理解したことに間違いはないだろう。
そして、彼女の家に向かって歩いていくと、その地区だけスゴイ擁壁で囲われていたり、 地区の入口にガードマンが立ってたり
どうやら彼女の家柄はかなりアッパーのようだ。
歩きながらリンちゃんがこのホームステイの間に、「日本のBUSIDOU(武士道)というものを教えて欲しい」という言葉に聞こえないフリをしながらリンちゃんの自宅に着いた。
放送局 「マンションに住んでるの?」
リンちゃん 「ううん。違うよ」
放送局「コレ全部?」
リンちゃん 「そう。さっ入って」
!!!!
とんでもナイ家に来ちゃったもんだ。箸の持ち方が良くない俺がはたしてこの家にホームステイできるのかな?!
中に入ってさらに驚いた。1階から4階まで吹抜けになっており(ホテルのエントランスように)そして4階から1階まで上手いんだか下手なんだか解らないが、何かの漢詩がものすごく力強い筆で書かれていた。掛け軸とは長さも大きさも全てが違い過ぎる!!コレを書きあげた習字の先生は、きっと腰痛になったことだろう。
リンちゃんはひとりっ子で、パパとママの三人。両親の人柄をみて、幸せな家族だってのはすぐわかった。しかしパパは仕事が忙しく、結局初日と最終日以外は会えなかった。
そして俺は、日本のどこに住んでて、家族が何人、チンピラ犬のどんぐりが一匹とか一般的な自己紹介をしながら時間が過ぎていった。途中なんで君は坊主なの?と聞かれたが
それはねB-BOYだからだよ、とアンサーしたが理解してもらえず残念だった。
夕方近くになって俺がヤッカイになる部屋を案内されて、ビックリした。一般的な家庭の俺にだって感じちゃうぐらいの狭さ!!(倉庫かな?)でも、俺にはこれぐらい狭いぐらいが丁度いい。しかもその部屋にはエアコンが設置されていなかった。夏に台湾へいったコトがあるリスナーならわかると思うが、夏の台湾はめちゃくちゃ暑い。あまりの暑さに(疲れちゃうから)昼間にお昼寝タイムを実施する会社もあるぐらいと初日の懇談会で言っていたのを思い出した。そしてこの夜俺は、初めて扇風機を強にしてタイマーもかけずに朝を迎えたのだった、、、、
明くる日。俺はすでに明けの明星から覚醒していた。なぜって?
それはね、扇風機をぶっ壊れるぐらいぶん回した結果、喉がめちゃくちゃに渇いてるのに冷蔵庫を勝手に開けれないからさ!
あうぅ、、 「お〜い!お茶 濃い味」をガブ飲みしたい!!
坂角総本舗ゆかりをバリバリ音を鳴らして噛み砕いて胃をたぶらかしたい!!
でも無理なの!だってココは台湾だもの!!その他にもアレコレ考察している間に時間も過ぎ、リビングから
「ゴハンですよー」と呼ばれて急いで駆け下りた。
朝食はトーストにサラダと洋風に。トーストにバターをバリバリと塗りたくりながら、あっ、ゆかりの音みたい。とおセンチになっていると、
「あんた。意外とお寝坊さんね。」
ぎゃふん!!えー。お言葉ではありますが、ワタクシ夜が明ける前より目ん玉ギラつかせておりました!!と言えるわけがなく、お得意の苦笑いだ。
朝食を終えると、、、マーヒーである。
ラークーをキャンツクにブチかましたリビングで、もやしっ子のように暇を持て余してダラダラしていると、リンちゃんがリモコンを渡してくれたので、チャンネルを切り替えていたら、
「ひとつ屋根の下 1」が放映されていた。しばらく観て、ちょうど兄ちゃんの妹役のノリピーが実の妹では無いこと、三度の飯より覚せい剤が大好きなことをカミングアウトされたシーンで俺は、トイレに向かった。リビングに戻ると、チャンネルが変わっていた。
「ん?」
少ししてから、リンちゃんが冷蔵庫に向かったので俺はまた
「ひとつ屋根の下1」に切りかえた。その後リンちゃんが笑顔で俺にドリンクを渡してくれ、その笑顔のまま俺の目の前でチャンネルを切り替えたのだった。ココで日台親善チャンネル争い(非公式)が開催されたワケだが、結果1582対2で惜しくも負けてしまったよ。
しかしながらこのリンちゃんたら、こういった目の前でいきなり切り替えちゃうカットインがちょくちょくあった。
その日の夜にリンちゃんが
「明日から旅行に行くから楽しみにしてて!!」といきなりおてんば発言。まぁでも室内温度19度の低温保存にも飽きてきたところだしね。うん。確かに楽しみです!
その夜は、リビングの南極のような寒冷地から、俺の赤道直下のような熱帯倉庫の温度差に体調を整えながら、扇風機は音速でブン回るのであった。
翌日。ママとリンちゃんと俺で、ヴァナゴンに乗り込んで出発。
途中で、日射病にかかるか、かからないかギリギリのラインのチャンジーとチャンバーをピックアップ。聞けばママのチャントーとチャンカーらしい。歴史的背景で台湾のチャンジーとチャンバーは日本語が話せる(歴史的背景については各自リスナーが勉強するように)ので車中の会話は面白かった。
ヴァナゴンに揺られること数時間。台東か台南か忘れたが着いたホテルはアッパークラス!!こりゃまたまいったね!!
GATEから入口まで左右タイマツで道なりに。こりゃまたまいったね!
受付を済ませて、ベタにホテルの中央にあるプールに飛び込もうとした時、リンちゃんが俺の前で人差し指だけを立てて左右に振った。
(このダメダメの仕草は、俺の友達がやったらぶん殴ってやるところだが、リンちゃんなのでそうはいくまい)
「プールに入るならスイムキャップを買わなきゃ」
今さら、プールやめるとは言えず買わされるハメに、、、
「ちぇっ。俺メッシュ派なんだけどな、、、」
ゴム製のスイムキャップを勢いよく被り、今度こそ入水!!
の!!!瞬間!!!事件が起きた!!
スイムキャップを買わせて頂いてる際に、リンちゃん親子が着替えていたのだが、、、
NOOOOOO!!!!!!
なんと、リンちゃんのママはわき毛がフッサフサだったのだ!
確か小学校の時にワイドショーで、わき毛の生えた女優が話題になって、俺は小学生ながらショックを受けたのだが、
まさか青春街道一直線のこの俺の前で、、、ママは化粧だってキレイにしてたし、服のセンスもセレブリティ。なのに、だのに、
動揺を隠しきれずに、まっまさかリンちゃんはねぇ、、、、とチラとリンちゃんに目をやると、、、、
ガッビーーーン!!!リンちゃんすでに育成選手!!!
リンちゃんは、おNEWの水着のようでもじもじと照れていたが、照れる場所が違うだろうに。リスナーのみんなに聞きたい。台湾はコレが普通なのか?それともココが異常なのか?それとも俺が異常なの?「別に自分のスキな格好だからいいんじゃね?」なんてゆとり教育的発言は、却下するとしてだな。
とっ!とにかく!俺自身としては理解できるお年頃ではないワケで(当たり前だが現在も)俺は、文字通りプールの底に沈んでしまったよ。
そんなこんなで、一泊二日のフッサフサ旅行も終えて、明くる日からのリンちゃんとの壮絶チャンネル争い(一部非公式)でコテンパンにやられた俺は、赤道直下のMy「巣」で
娯楽といえば、扇風機の風切り音で俺の声帯にビブラートがかかった変化を楽しむ方法しか術がないMy「巣」で、いつものように「ワーレーワーレーハー宇宙人であーるー」と扇風機と会話しながら最終日の夜を過ごしていた。
俺の不気味な声が不安になったのか、リンちゃんが入ってきた。
リンちゃん「眠れなくて」
放送局 「俺も暑くて毎晩寝れやしないよ。」
リンちゃん 「ここホントに暑いね」
放送局 「あんたの家だよ。こんなに暑いの生まれて初めて
だよ」
リンちゃんは、お構いなしに話を続けるのだが、次の言葉にビックリした。全ての言葉が理解できたワケではないが、大体次のような感じだ。
リンちゃん 「放送局って、何人ぐらい経験したことあるの?」
うーん。ついにティーンの会話が最終日になってようやく訪れてきたのだ。前編でも放送したように俺はその時、高校生にして1人暮らしという、高校生の潜在能力全てを超越して、言わばカースト制度のバラモン階級に属していたため、
そっ、そりゃあ、、まぁ、、ねえ、、、、
16歳の少年少女がワンルームに2人っきりになれば、真剣勝負のフルコンタクト組手が始まるワケで、、、
俺は正直にリンちゃんに応えた。誤解してほしくないが(誤解してもどーでもよいことだが)決して多くはない人数を言ったのだ。
その瞬間!
リンちゃん 「おーー!のぉー!!」
と小学生でも理解できるような仕草で、部屋を出て行ってしまった、、、、
放送局 「??!!??!!??」
ポツンと1人残されて結局そのまま朝を迎えたのだった。
俺は今でも悩んでいる。あの時俺は何を言えば彼女は、自分の部屋に戻らなかったのか?そもそも何のつもりで「巣」にきたのか?アンサーの人数が原因?(クドイようだか人数は少ない)
未経験のアンサーを期待していたのか?実は俺はホントはゲイで、50過ぎのオジサマしか興味ありませんって言ったほうがよかったのか?
いよいよお別れの朝。昨日のコトは何事もなかったように
リンちゃんが朝ごはんをつくってくれた。
そして玄関の前で
「ここは、放送局の家も同然よ。いつでも帰ってきてね」
と鍵を手渡してくれた。
そして空港からいよいよ大日本帝国に帰還するために、GATEを通過しようとした際、息を切らせながら、リンちゃんがお友達と見送りにきてくれたのだ。
そして機上の人となった俺は、窓の下に見える台湾が徐々に
小さくなっていくのを眺めながら、手渡された鍵を握りしめていた。そして飛行機も平行飛行になりしばらくして。
「?」
あれ?確かリンちゃんの家ってカード式の鍵だったような?
「?」
「勝手口かな?」
「?」
すると隣の真剣ホームステイ組の1人が、
「あぁ、鍵渡されたの?ホームステイの家族がよくやるよ。
それは親交の証で、ホントの鍵ではないのでありますよ。」
ずっこしーーー!!!そっ、そりゃそうだよねー。たかだか短期間で、もう会わないようなイカくさいイガグリ坊主にマジな鍵なんか渡すワケありませんよねー!!
でっ!でもさ、でもさ!俺はこうも思いたいんだよ!!
いつかこの鍵にピタリとハマる扉が目の前に現れてさ。
それで、その扉の向こうには太陽の光がさんさんと降りそそぐ海辺で、大人になったリンちゃんが、ほほえみながら手を振ってくれるんじゃないかなってね。
次回もyo-sk8放送局で!!

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